乳がん検診の精密検査 ― 乳がん検診の情報をお送りすることで日本の女性を乳がんから守ります。乳がん検診伝道師 外科医 高橋 保正 ―

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乳がん検診の精密検査

一般的な検査については、「乳がん検診について」からご覧くださいませ。

 

こちらではさらなる精密検査について御説明いたします。

 

 

針組織診

 

以前は乳腺のしこりの診断方法として、細い針でおこなう穿刺吸引細胞診(ABC)が一般的でしたが、診断が不可能なことが多いこと、またがんと細胞診で診断され乳房切除を行ったところ乳がんではなかったという症例も新聞で報道された病院もあったため、現在は太めの針を使用する針組織診をおこなう病院が増えています。

 

ただし、依然として細胞診を中心におこなっている病院が多いのも事実です。

 

私は、乳腺のしこりの確定診断のために針組織診をおこなっています。針組織診(コアニードルバイオプシー)は細い針で局所麻酔(痛み止め)を十分におこなってから太い針を使用しておこないます。

 

腫瘍の直前まで、組織診用の針(コアニードル)を挿入しそこで針のスイッチを押します。すると、さらに針が約3cm進むことにより、しこりの中の組織の一部をこの針が切り取って回収してくれるのです。

 

さらに最近では針組織診(CNB)をさらにグレードアップした超音波ガイド下穿刺吸引組織診(VACORA R)を用いて、より多くの乳腺組織を回収することによりさらに正確な診断をおこなうことができるようになっています。

 

VACORA(バードバイオプシーシステム,株式会社メディコン)は超音波ガイド下穿刺吸引組織診をおこなうための精密機械です。

 

VACORAはCNBの約10~15倍の組織を一度に回収することができるので、お勧めの検査方法となっております。

 

実際にVACORAの器械が患者様の前に登場すると、多くの患者様は目を見開きます。

 

私の大きな手の中にすっぽりと収まるのですが、それでもゴツゴツした外観と針の太さで皆様はびっくりしてしまうのです。

 

最初に痛み止めのちくっと蚊にさされるような感じはありますが痛み止めの麻酔をしっかりと使用しますので、ほとんどの方は痛みを感じることはありません。

 

前もって、VACORAがどのような器械であるかを皆様にお見せしておくのが良いのか、知らない方がよいのか。

 

難しい問題です。

 

私のモットーは、お子様にも患者様にもできるだけ針をお見せしない、ということです。

 

だって、こわいでしょ?針は。

 

ですから器械だけお見せして、針はいつも見つからないようにしています。

 

そうやって、リラックスして検査をお受けいただくのが、診断の正確さを高めるための、とっても大事な秘訣なのです。

 

針組織診(CNB)や超音波ガイド下穿刺吸引組織診(VACORAR)の危険性としては、針が大胸筋や肋骨、さらには肺などにあたり、出血や痛みや気胸を起こす可能性があることですが、丁寧に慎重におこなうことによって防ぐことができます。

 

痛みがほとんどなく、正確で安全性の高い針組織診(CNB)および超音波ガイド下穿刺吸引組織診(VACORA R)をご希望の方は、ご相談くださいませ。

 

骨シンチグラフィー

 

骨シンチグラフィーは、わずかな量のアイソトープ(放射性物質)を患者さんの血管の中にお注射し、体から発するガンマ線を感知し画像にあらわす検査法です。この検査は、がんの骨転移を調べる検査です。でも、骨折や骨の炎症でも陽性と出てしまうのが、悲しいところです。

 

従って、骨シンチグラフィーで確定的な診断が得られるわけではなく、骨シンチグラフィーで陽性と判断された部分を、CTやMRIやレントゲン検査で再確認して、診断をつけます。

 

通常、骨転移には痛みを伴います。もし乳がんの手術後で、骨の痛みを感じるようになったら、安心のために一度骨シンチグラフィーを受けておくと安心ですよ。

 

腫瘍マーカー

 

がん細胞が産生したり、がん細胞に反応する物質を腫瘍マーカーと言います。少量の採血で検査します。

 

乳癌の腫瘍マーカーとしては、CA15-3, CEA, NCC-ST-439, BCA225などがあります。でも早期癌では異常値にはならず、転移があっても異常値を示さない場合があります。

 

あくまでも癌の補助的な検査ですが、異常値を呈する場合には、この数字を参考に治療を進めて行きますので、とても大切な検査です。

 

乳がん検診の際には、いきなりこれらを検査することはありませんが、もし明らかに癌が確定的な場合には、いろいろな検査と同時に腫瘍マーカーの検査も行います。

 

ただし、腫瘍マーカーは一時的に数字が増えたり減ったりすることもありますので、その数字に一喜一憂する必要はございません。


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