乳がんについて ― 乳がん検診の情報をお送りすることで日本の女性を乳がんから守ります。乳がん検診伝道師 外科医 高橋 保正 ―

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乳がんについて

乳がんは、非浸潤がん・浸潤がん・パジェット(Paget)病に分けられます。

 

がん細胞が乳管内あるいは小葉内にとどまって転移しないものを、非浸潤がん、乳管や小葉の基底膜を破って外に広がった段階を浸潤がんと言います。
また家族性乳がんという遺伝性と考えられる乳がんも存在します。

 

さらに浸潤がんは、浸潤性乳管がんと特殊型に分けられます。
そして浸潤性乳管がんは乳頭腺管がんと充実腺管がんと硬がんにわけられます。

 

乳頭腺管がんは、分化度が高いがんでリンパ節転移を起こしにくい予後の良いがんです。
乳がん全体のほぼ20%を占めています。

 

硬がんは、しこりをつくらず、乳管の外に散らばるように浸潤していくがんです。
間質へ浸潤し、多くの場合線維の増生を伴います。マンモグラフィーでは、スピキュラというとげ状の陰影や、ひきつれなどの乱れ(いわゆる構築の乱れとよばれるもの)を認めます。分化度が低く、予後も比較的不良です。乳がん全体の40%を占めています。

 

浸潤がんは、浸潤性乳管がんと特殊型に分けられます。このうち特殊型には、粘液がんがあります。

 

粘液がんは乳がん全体の約4%です。しこりのほとんどが粘液で、その中にがん細胞が浮かんでいる状態のがんです。転移しにくく、リンパ行性転移よりも血行性転移(がん細胞が血液に乗って転移する)が多いとされています。予後は良好です。

 

粘液がんは、高齢の女性に発症しやすく、ゆっくりとした増殖をします。
また、純型(pure type)と混合型(mixed type)に分かれます。純型は腫瘍全体がゼリー様の病巣で占められるもの、混合型は浸潤性乳管がんの組織形態を示すがん巣とゼリー様のがん巣が混合したものです。

 

浸潤性小葉がんは乳がん全体の約4%です。その特色としては、がん細胞がばらばらに乳房のなかに拡がることが多く、乳房温存術を行う場合にはしっかりと辺縁から距離をとること、また乳房温存後に放射線療法を行うことが大切です。

 

また、転移の仕方が乳管がんとやや異なり、乳管がんは肺、肝臓などへの転移が多く、小葉がんは髄膜、腹腔内の内臓などにも転移することがある、と言われています。

 

小葉がんや硬がんなどの浸潤の強いがんは、腫瘍は硬くは触れず、柔らかな膨隆を示す腫瘍がんとして触知します。

 

でも、腫瘤を挟み込むように圧迫して持ち上げると、腫瘍の中心部がへこむ、いわゆるdimpling signを認めます。マンモグラフィーでは、腫瘍部中心の核(しこり)は不明瞭で、ひきつれが“構築の乱れ”として確認できます。

 

パジェット病は乳管がんが主乳管を通って乳頭の表皮内に進展し、乳頭部がただれてびらんという状態を呈します。比較的性質のおだやかな乳がんです。


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