要精査と言われたら
正しい乳がんの知識【乳がん検診Q&A】
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マンモグラフィーの結果をご覧になるとカテゴリーという項目のとなりに数字が書いてあると思います。
カテゴリー1は”何もなし”。カテゴリー2は、”何か所見はあるが良性”。そしてカテゴリー3からカテゴリー5までが”異常がある”という状態です。
一般的に1000人の方が乳がん検診をお受けになった場合、そのうち約30人の方がカテゴリー3以上を指摘されます。
そのうち約2〜3人の方が乳がんと診断されるというデータがございます。
それぐらい乳がんの頻度は低いのです。
こわがらずに精密検査を受けて安心することが大切です。
今回はカテゴリー3についてお伝えします。
カテゴリー3は、いわゆる「良性と悪性の両方の可能性がありますので注意しなさいよ。」というグレーゾーンの結果です。
このうち乳がんであることはわずか10%なのですが、女性にとっては一大事です。
顔色を変えて診察室に飛び込んでいらっしゃいます。
カテゴリー3と言われた皆様は以下のようなものが原因で引っかかってしまったと考えられます。
1. FAD(局所的非対称性陰影)
左右の乳腺組織を比較したときに、はっきりとした腫瘤とは断定できないが、左右を比較すると境界部が不鮮明な非対称性局所濃度として認められるもの。
カテゴリー3のFADと診断された方は、ほとんど心配いらないと思います。
方針としては、FADで引っかかって乳腺外来を受診されましたら、まず乳腺エコーをおこないます。
これによりしこりが写らなければ、まず次回一年後の定期検査で良いとされております。
さらに、念のためもう一度マンモグラフィーを行ってみれば、そのFADは乳腺の重なりであったり、何もなかったりという結論になることもあります。
もし、乳腺エコーの結果はっきりとしたしこりが写ってくればさらに精密検査をおこなうことになります。
2. 腫瘤
いわゆるしこりが写っている場合です。
やはり同様に、まず乳腺エコーをおこないます。
乳腺エコーは、皮膚にゼリーを塗って超音波を使用して乳腺の検査をおこなうものです。
全く体内に及ぼす悪影響はなく、痛みもなく、怖くない検査です。
腫瘤をマンモグラフィーで指摘されて、乳腺エコーで嚢胞と言われた場合は良性と判断されたという意味ですので基本的には1年後の定期検査で良いと思われます。
嚢胞内に腫瘍がみられるいわゆる嚢胞内腫瘍が疑われる場合にはさらなる精密検査が必要です。
線維腺腫と言われた場合には、その形やサイズなどから判断し、状況によっては本当の良性かどうかを調べる意味での針生検をお勧めしております。
腫瘤の中には、乳管内乳頭腫という疾患もありますが、これは最近は乳腺MRI検査や針生検で正確に診断でき、特にいきなり手術をすることはございません。
3. 石灰化
この石灰化を心配される方が最も多いです。
マンモグラフィーで「カテゴリー3ですよ。」と言われた方に見られる石灰化は、もし悪性のものだとしてもlow grade malignancy、すなわち悪性度が低く、短期間で進行・転移する可能性は低いと言うことをまずお伝えしておきます。
しかし、まずはカテゴリー3の石灰化と言われたら、私たち乳腺外科医は以下のように対応いたします。
(1) 乳腺エコーでしこりを伴う石灰化の場合
針生検をおこない正確な診断をつけます。
(2) しこりを認めない石灰化の場合
石灰化の分布と形状で再検討します。
- 集ぞく微小円形…3〜4ヶ月後マンモグラフィー再検査
- 集ぞく淡く不明瞭…3〜4ヶ月後マンモグラフィー再検査あるいは針生検を近日中におこなう
- 多形性不均一あるいは区域性微小円形…マンモトーム
少し専門的すぎて難しいですね。でもこのように石灰化は非常に細かい分類があって、でもカテゴリー3の石灰化は良性のことがほとんどですので、あまり深く心配しすぎないようにしてください。
4. 構築の乱れ
これはちょっと難しい言葉ですね。構築の乱れ(architectural distortion)とは、腫瘤は明らかではないが、正常の乳腺構築がゆがんでいるものを言います。
そして、その中には1点から放射状に広がるスピキュラ(spiculation)や、乳腺実質縁の局所的引き込み(retraction)、あるいは歪み(distortion)も含まれています。
スピキュラを伴ったり、構築の乱れと言われる病変が見つかった場合には、次のような疾患が考えられます。
- 手術瘢痕
- 放射状瘢痕・複雑型硬化性病変
- 脂肪壊死
- 硬化性腺症
- 膿瘍
- がん
です。